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2024.12.15
特定技能外国人の人数制限はある?受け入れ人数の制限を紹介
特定技能外国人の受け入れ人数は、年々増加しています。特に特定技能1号を取得した方の人数は、令和6年6月末の時点で25万1,594人にのぼります(※)。介護や製造業、建設、農業など、さまざまな分野において人手不足の解消に貢献してきました。
技能実習制度と同様に、特定技能制度にも受け入れ人数の上限があるのか気になる方も多いでしょう。この記事では、企業ごとの人数制限や、現時点での受け入れ人数について紹介します。
※ 法務省 出入国在留管理庁「特定技能1号在留外国人数」p1
特定技能外国人の受け入れ人数に制限はある?
特定技能外国人を受け入れる際に、企業ごとの人数制限は原則としてありません。出入国在留管理庁が作成した「特定技能制度に関するQ&A」でも、“受け入れ機関ごとの受け入れ数の上限はありません”と記載されています(※1)。
ただし特定技能1号外国人の場合、将来の人手不足の状況などを考慮し、令和6年4月から5年間の受け入れ見込み数が設定されています(※2)。
分野 | 受け入れ見込み数 |
工業製品製造業 | 17万3,300人 |
飲食料品製造業 | 13万9,000人 |
介護 | 13万5,000人 |
建設 | 8万人 |
農業 | 7万8,000人 |
外食業 | 5万3,000人 |
ビルクリーニング | 3万7,000人 |
造船・舶用工業 | 3万6,000人 |
自動車運送業 | 2万4,500人 |
宿泊 | 2万3,000人 |
漁業 | 1万7,000人 |
自動車整備 | 1万人 |
木材産業 | 5,000人 |
航空 | 4,400人 |
鉄道 | 3,800人 |
林業 | 1,000人 |
総数 | 82万人 |
(※2)を受け入れ見込み数の降順に並び替えて作成
このように各分野の上限は存在するものの、企業は一部の分野を除き、何人でも特定技能外国人を雇用できます。
※2 出入国在留管理庁「特定技能制度の受入れ見込み数の再設定(令和6年3月29日閣議決定)」p1
建設・介護分野は受け入れ人数に注意が必要
ただし建設分野と介護分野では、特定技能1号外国人の受け入れに当たって、事業所単位で人数枠が設けられています。
ここでは、所管省庁が作成した分野別運用方針に基づき、建設・介護分野における人数制限について解説します。
分野 | 分野別運用方針 | 特定技能1号外国人の人数枠 |
建設 | 建設分野における特定技能の在留資格に係る制度の運用に関する方針 | 特定技能1号の在留資格で受け入れる外国人の数が、特定技能所属機関の常勤の職員(外国人技能実習生、1号特定技能外国人を除く)の総数を超えないこと(※1) |
介護 | 介護分野における特定技能の在留資格に係る制度の運用に関する方針 | 事業所で受け入れることができる1号特定技能外国人は、事業所単位で、日本人等の常勤介護職員の総数を上限とすること(※2) |
※1 法務省 出入国在留管理庁「建設分野における特定技能の在留資格に係る制度の運用に関する方針」p4
※2 厚生労働省「介護分野における特定技能の在留資格に係る制度の運用に関する方針」p3
建設分野は技能実習生などを除く常勤職員の総数が上限となる
建設分野では、事業所ごとの常勤職員の総数が、特定技能1号外国人の受け入れ上限です。ただし、常勤職員には外国人技能実習生や、他の特定技能1号外国人は含まれません。
例えば、常勤職員の総数が20人の場合、特定技能1号外国人の受け入れ上限は20人までです。
分野別運用要領では、人数制限が設けられる理由として、“建設技能者は、1つの事業所だけで働くわけではなく、さまざまな現場に出向いて働くことが想定されますので、支援を要する1号特定外国人を監督者が適切に指導し、育成するためには、一定の常勤雇用者が必要であるため”と説明しています(※)。
※ 法務省 出入国在留管理庁「特定の分野に係る特定技能外国人受入れに関する運用要領-建設分野の基準について-」p27
介護分野は外国人を含む常勤介護職員の総数が上限となる
介護分野においても、事業所ごとの常勤介護職員の総数が、特定技能1号外国人の受け入れ上限です。ただし介護分野の場合、日本人の介護職員だけでなく、以下のような外国人材も含まれます(※)。
- 介護福祉士国家試験に合格したEPA介護福祉士
- 在留資格「介護」により在留する者
- 永住者や日本人の配偶者など、身分・地位に基づく在留資格により在留する者
なお、技能実習生やEPA介護福祉士候補者、留学生は常勤介護職員に含まれません。
※ 厚生労働省「特定の分野に係る特定技能外国人受入れに関する運用要領-介護分野の基準について-」p10
特定技能外国人の受け入れ人数はどのくらい?
ここでは、特定技能外国人の現時点での受け入れ人数を国籍・地域別に紹介します。
【国籍・地域別】特定技能1号外国人の受け入れ人数
特定技能1号外国人の総数は、令和6年6月末の時点で25万1,594人です(※)。
最も受け入れ人数が多い国はベトナムです。ベトナムだけで全体の約半数を占めており、特に工業製品製造業や飲食料品製造業分野で多くの働き手を受け入れています。
次いでインドネシア、フィリピン、ミャンマー、中国の順に受け入れ人数が多く、国籍・地域の多様化が進んでいます。
国籍・地域 | 総数 | 介護 | ビルクリーニング | 工業製品製造業 | 建設 | 造船・舶用工業 | 自動車整備 | 航空 | 宿泊 | 農業 | 漁業 | 飲食料品製造業 | 外食業 |
総数 | 25万1,594人 | 3万6,719人 | 4,635人 | 4万4,044人 | 3万1,853人 | 8,703人 | 2,858人 | 959人 | 492人 | 2万7,786人 | 3,035人 | 7万202人 | 2万308人 |
ベトナム | 12万6,740人 | 8,970人 | 1,839人 | 2万6,599人 | 2万1,291人 | 1,376人 | 1,341人 | 164人 | 140人 | 8,504人 | 439人 | 4万6,914人 | 9,163人 |
インドネシア | 4万4,298人 | 9,760人 | 972人 | 7,028人 | 3,075人 | 1,641人 | 251人 | 70人 | 91人 | 8,514人 | 2,452人 | 9,134人 | 1,310人 |
フィリピン | 2万5,303人 | 4,092人 | 399人 | 4,484人 | 3,206人 | 4,754人 | 859人 | 492人 | 30人 | 2,845人 | 15人 | 2,977人 | 1,150人 |
ミャンマー | 1万9,058人 | 8,083人 | 379人 | 646人 | 631人 | 25人 | 162人 | 62人 | 58人 | 812人 | – | 3,163人 | 5,037人 |
中国 | 1万5,660人 | 1,143人 | 598人 | 3,085人 | 1,760人 | 751人 | 23人 | 5人 | 36人 | 2,254人 | 125人 | 4,941人 | 939人 |
カンボジア | 5,461人 | 307人 | 172人 | 194人 | 938人 | 7人 | 56人 | – | 2人 | 2,625人 | 1人 | 1,074人 | 85人 |
ネパール | 5,383人 | 2,743人 | 118人 | 32人 | 154人 | – | 4人 | 98人 | 44人 | 681人 | – | 156人 | 1,353人 |
タイ | 5,174人 | 303人 | 59人 | 1,714人 | 302人 | 148人 | 34人 | – | 9人 | 991人 | 0人 | 1,453人 | 161人 |
その他 | 4,517人 | 1,318人 | 99人 | 262人 | 496人 | 1人 | 128人 | 68人 | 82人 | 560人 | 3人 | 390人 | 1,110人 |
※ 法務省 出入国在留管理庁「特定技能1号在留外国人数」p1
【国籍・地域別】特定技能2号外国人の受け入れ人数
特定技能2号外国人は、令和5年8月31日から介護分野以外の全ての分野で受け入れが可能になりました(※1)。令和6年6月末の時点で、受け入れ人数の合計は153人です(※2)。
国籍・地域別に見ると、ベトナム出身の方が最も多く、次いで中国、フィリピン、インドネシアの順となっています。
国籍・地域 | 総数 | 工業製品製造業 | 建設 | 造船・舶用工業 | 農業 | 飲食料品製造業 | 外食業 |
総数 | 153人 | 23人 | 66人 | 23人 | 21人 | 11人 | 9人 |
ベトナム | 92人 | 14人 | 46人 | 14人 | 10人 | 5人 | 3人 |
中国 | 36人 | 7人 | 18人 | 1人 | 5人 | 2人 | 3人 |
フィリピン | 8人 | – | – | 4人 | 2人 | 1人 | 1人 |
インドネシア | 7人 | 2人 | 2人 | – | 2人 | 1人 | 0人 |
タイ | 4人 | – | – | 4人 | – | – | – |
ネパール | 3人 | – | – | – | 1人 | 2人 | – |
台湾 | 2人 | – | – | – | 1人 | – | 1人 |
ミャンマー | 1人 | – | – | – | – | – | 1人 |
※1 法務省 出入国在留管理庁「特定技能2号の対象分野の追加について」
※2 法務省 出入国在留管理庁「特定技能2号在留外国人数」p1
特定技能外国人を受け入れる前に人数制限について確認しよう
特定技能制度では、企業ごとの外国人材の受け入れ上限を原則として定めていません。一部の分野を除いて、何人でも特定技能外国人を採用できます。
ただし、建設・介護分野の場合、事業所の常勤職員の総数が受け入れ人数の上限です。介護分野では、在留資格「介護」を取得した方や、介護福祉士国家試験に合格したEPA介護福祉士も常勤職員に含まれます。
特定技能外国人の在留者数は増加傾向にあり、さまざまな国籍・地域の方が日本国内で活躍しています。人手不足に悩んでいる方は、即戦力として働ける特定技能外国人の受け入れを検討しましょう。