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2022.06.04

技能実習生の給与や相場は?賃金のルールを解説

技能実習生の給与や相場は?賃金のルールを解説

まずは、技能実習制度によって保護されている技能実習生は、日本ではどのような立場であり、どのような待遇をする必要があるのか、その辺りから抑えていく必要があります。

また、給与に関しては、平均給与、最低賃金、割増賃金などの細かい点まで、何を基準として、どのように金額を設定すれば良いのか。さらに、技能実習生と日本企業双方にとってより良い未来を築くために心掛けたいことについて解説していきます。

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技能実習生の給与はどう決める? 

技能実習生は入国1年目から、労働基準法や最低賃金法、雇用保険法などといった労働関係法令が日本人と同様に等しく適用されます。 受け入れ企業はこれらの法令を遵守し、適正な給与の支払いや待遇をしなければなりません。

ここからは実際に給与を設定する際に注意すべき、最低賃金、日本人と同等給与、割増賃金、賞与の四つのポイントについて見ていきます。

 

最低賃金を守る

最低賃金については、最低賃金法によって、「最低賃金額以上の金額を支払わなければならない」と明確に定められています。では、この最低賃金とは具体的にどの金額を指すのでしょうか。

最低賃金には都道府県ごとに定められている地域別最低賃金、特定の産業ごとの基幹的労働者を対象に定められている産業別最低賃金があります。それぞれ企業が所在する地域や産業を基に確認をする必要があります。もし地域別と産業別の両方の最低賃金に該当する場合には、どちらか高い方の金額を支払わなければなりません。ここで低い方の金額を適用し、支払いを行なった場合には最低賃金法違反となります。

また、仮に受け入れ企業と技能実習生の間で、上記の最低賃金よりも低い賃金で合意をし、契約を交わしたとしても、その契約は無効となり、定められている最低賃金以上の金額を支払わなければなりません。

例えば、地域別最低賃金が時給800円の地域で実習を受けている実習生が、入国前に時給400円で契約を交わし、受け入れ企業がその額しか支払わなかった場合には、双方の同意があったとしても最低賃金法違反となります。本来この場合には地域別最低賃金額である時給800円を支払わなければなりません。

 

同一労働同一賃金を遵守

厚生労働省では「同一労働同一賃金ガイドライン」を策定しています。

このガイドラインは、正社員(無期雇用フルタイム労働者)と非正規雇用労働者(パートタイム労働者・有期雇用 労働者・派遣労働者)との間の不合理な待遇差をなくすために策定されています。

技能実習生は、このうちの有期雇用労働者に該当することから、同様にこの考え方が適用されます。

つまり、既存の日本人労働者と技能実習生が企業内において同一の業務に当たっている場合には、その日本人と同程度の賃金を実習生にも支払う必要があります。技能実習生、または外国人であるからと言って、不当に給与を低くすることは違反となります。

また、全く同じ業務に当たっていなくとも同じレベルの業務や責任を担っている日本人の給与と比較し、掛け離れた金額にならないよう注意しましょう。

 

割増賃金の支払いは?

休日出勤や時間外労働の割増賃金についても日本人と同様に、労働基準法に基づいて支払わなければなりません。

具体的な金額の計算方法は以下の通りとなります。

  • 時間外労働に対しては25%以上 
  • 深夜業 (午後10時~午前5時の労働)に対しては25%以上
  • 休日労働に対しては35%以上

また、受け入れ企業が技能実習生に内職などと称して時間外労働を行わせ、これに対しての支払い額が上記の割増賃金よりも低い場合、労働基準法違反となります。

そもそも出入国管理及び難民認定法(入管法)上では 技能実習生に内職をさせることは認められていません。

 

賞与の支払いは?

次に賞与の支払いについてですが、これについては最低賃金や割増賃金のように法律上支払い義務については明記されていません。よって、受け入れ企業それぞれの判断に委ねられています。

ここで大切なのが、安易に外国人だからと賞与分の予算を削ってしまうのではなく、賞与の支払いはなぜ必要なのか、もしくは不必要なのかを熟考し、さらに実習生の経験や実績を正当に評価していくことです。

全国の実習実施者(受け入れ企業や監理団体等)へ行なった調査では、労働基準関係法令違反に該当したのは全体の7割にも上り、そのうち労働時間や賃金支払いに関する違反が多く確認されています。また、技能実習生から労働基準監督署へ法令違反の是正を求める申告のうち最も多かったのが「賃金・割増賃金の不払い」でした。

このように技能実習生を巡る賃金の支払い関係については以前より社会問題に発展するまで数多くの違反が報告されています。また、これらが年間1万人近い技能実習生の失踪にも関わっていると見られています。

また、実習生は給与の多くを日本での生活費に当てる他、母国の家族への仕送り、来日前の講習や来日に掛かった費用の借金返済などにも当てている人も少なくありません。フルタイムで実習を行う日々の中で、息抜きや娯楽などといった自分自身のために使えるお金は限られたものです。

これらの事実も踏まえ、受け入れ企業は正当な賃金の支払いの他に、賞与は技能実習生が日本で実習を行う上で非常に重要な役割を果たすことをしっかりと認識しておく必要があります。日本人と同様に賞与はこれまで頑張ってきた努力が報われ、今後の仕事の取り組みへのモチベーションも引き上げてくれるものです。

技能実習生は本人と企業の合意があった場合には最長5年まで在留を延長することができ、人材流動が激しい現在において長く企業に在籍してくれる可能性がある大切な存在です。双方のより良い未来のためにも、慎重に賞与を検討しましょう。

 

参照:技能実習生の労働条件の確保・改善のために(厚生労働省)

参照:最低賃金とは(厚生労働省)

参照:同一労働同一賃金ガイドライン(厚生労働省)

参照:技能実習生の実習実施者に対する監督指導、送検等の状況(令和2年)

 

技能実習生の給与相場は?

それでは実際に、技能実習生の給与相場はどのような状況になっているのでしょうか。

厚生労働省による「賃金構造基本統計調査」(令和2年)によると、技能実習生の平均給与は16万1700円でした。これを実習生とほぼ同年代(25~29歳)の日本全体の平均給与36万5000円と比較してみると、非常に低いことがわかります。

上記で紹介したように、技能実習生の給与は同一の業務に当たっている日本人と同等である必要がありますが、実態は大きく乖離しているのが現状です。

さらに、給与の支払い方法についても規定があります。

賃金は、通貨で、受け入れ企業から直接技能実習生に、その全額を、毎月1回以上、一定期日に支払わなければなりません。 

・法令で定められているもの(税金、社会保険料など) 

・労使協定で定めたもの(寮費や食費など)

は、賃金から控除することができます。

ただし、具体的な使途を明らかにできない「管理費」などは、賃金控除協定を締結していたとして も、控除することはできません。

「技能実習生の入国・在留管理に関する指針」(平成21年12月 法務省入国管理局公表) では、

・寮費や食費を控除する額は実費を超えてはならない 

・実習終了時の帰国旅費や受け入れ団体が監理に要する費用を技能実習生に負担させてはならない とされています。

 

引用元:技能実習生の労働条件の確保・改善のために(厚生労働省)

 

また、給与の不払いは入管法上、不正行為と認定されます。 入国管理局から「不正行為」を行ったと認定された監理団体や受け入れ企業等は、技能実習生の受け入れが一定期間停止されます。 

参照:令和2年 賃金構造基本統計調査結果の概況(厚生労働省)

参照:平均給与(国税庁)

 

 

まとめ

ここまで技能実習生を受け入れる上で重要な給与について見てきました。日本には以前、外国人は安い給与で雇える、という誤った認識がありましたが、既にその時代は終わっています。

ここで大切なことは、給与に限らずその他の待遇についても、業務や責任の範囲に応じた適切な受け入れをすること、これは日本人従業員の受け入れと何ら変わりはありません。

技能実習生の受け入れ態勢が粗悪であったことから、時代に応じて様々な法令が整備されてきました。技能実習生は一時期の企業の人材不足を補填するための要員ではなく、企業にとって貴重な人材であること、その人材をしっかりと育むことが企業にも実習生にも多くの豊かな結果をもたらせるように認識を変え、取り組んでいくことが大切です。

技能実習生の給与についてお困りがあれば、ぜひ無料相談をご利用ください。

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