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2022.05.22

技能実習生3号とは?2号との違いや移行手続きを解説

技能実習生として日本に最長期間滞在できるのは技能実習3号となっています。それでは具体的に技能実習3号とはどのようなことを指すのか、また、3号へ移行するための要件や手続きなどについても見ていきましょう。

技能実習3号とは

「技能実習3号」とは、技能実習4~5年目の在留資格です。技能実習は通常1年目の1号から始まり、実習生と受け入れ企業の希望が一致した場合、随時2号(2〜3年目)、3号(4〜5年目)へと移行していきます。3号は技能実習生としては最長である5年間の日本滞在が可能になります。

技能実習3号の在留資格は、企業単独型での受け入れの場合は「技能実習第3号イ」、監理団体型での受け入れの場合は「技能実習第3号ロ」という区分になります。

注意すべき点として、2号から3号へ移行する場合には定められた試験に合格していることなどの要件があります。同様に1号から2号への移行時にも幾つかの要件が定められています。

2号から3号への移行時の主な要件としては、以下のような内容が挙げられます。

  • 実習生は2号終了後に母国へ1ヶ月以上一時帰国すること(その後、日本へ戻ってきてから3号の実習がスタートします。)
  • 所定の技能評価試験(技能検定3級相当)の実技試験に合格していること
  • 移行対象職種が省令で認められた77職種・135作業であること(2021年3月16日時点)
  • 監理団体及び実習実施者は、一定の条件を満たし優良であることが認められた者であること(※特に監理団体については、より厳しい条件を満たした団体のみが優良監理団体として一般監理事業を行うことができます。技能実習3号は、この優良監理団体でなければ受け入れができませんので注意しましょう。)

 

1号、2号、3号の違い

それではここで、1号、2号、3号ではどのような点が異なるのか、主な要点をまとめてみます。

 

技能実習1号

  • 在留期間:原則1年
  • 対象職種:原則として制限無し
  • 在留資格である「技能実習1号」とは、入国1年目に技能の修得をする活動のことを指します。原則2ヶ月間、座学の講習を受ける必要があります。

 

技能実習2号

  • 在留期間:2年(在留2~3年目)
  • 対象職種:85職種156作業(2021年3月現在)
  • 在留資格である「技能実習2号」とは、2~3年目の技能の習熟を図るための活動のことを指します。
  • 1号から2号へ移行するためには、1号の実習終了前に技能検定試験の基礎級(実技・学科試験)やこれに相当する検定や試験に合格することと、より実践的な技能実習計画の提出などが必要になってきます。この後、出入国在留管理庁の審査を通ると技能実習2号の在留資格を得ることができます。

 

技能実習3号

  • 在留期間:2年(在留4~5年目)
  • 対象職種:77職種135作業(2021年3月現在)
  • 在留資格である「技能実習3号」とは、4~5年目に技能に熟達する活動のことを指します。 
  • 2号から3号へ移行するためには、2号の実習終了前に技能検定試験の3級(実技試験のみ)やこれに相当する技能実習評価試験の実技試験の合格することと、より実践的な技能実習計画の提出などが必要になってきます。この後、出入国在留管理庁の審査を通ると技能実習3号の在留資格を得ることができます。また、技能実習3号を受け入れられるのは、主務省令の基準に達していると認められた一般監理事業を行うことのできる優良監理団体、並びに優良な実習実施者に限られます。

技能実習2号とは?1号との違いや移行手続きを解説

技能実習3号への移行対象職種

現在の、第2号から第3号への移行対象職種の一覧です。第3号移行職種は77職種135作業となっています。(2021年3月現在)

参照:https://www.jitco.or.jp/ja/regulation/occupation.html

1. 農業関係(2職種6作業) 2. 漁業関係(2職種9作業) 3. 建設関係(22職種33作業)
4. 食品製造関係(9職種16作業) 5. 繊維・衣服関係(10職種12作業) 6. 機械・金属関係(15職種29作業)
7. その他(16職種28作業) 8. 社内検定型(1職種2作業)

 

[表中の記号の意味]

◎:技能実習評価試験に係る職種

 

1. 農業関係(2職種6作業)

職種 作業
耕種農業◎ 施設園芸
畑作・野菜
果樹
畜産農業◎ 養豚
養鶏
酪農

 

2. 漁業関係(2職種9作業)

職種 作業
耕種農業◎






かつお一本釣り漁業
延縄漁業
いか釣り漁業
まき網漁業
ひき網漁業
刺し網漁業
定置網漁業
かに・えびかご漁業
養殖業◎ ほたてがい・まがき養殖作業

 

3. 建設関係(22職種33作業)

職種 作業
さく井 パーカッション式さく井工事
ロータリー式さく井工事
建築板金 ダクト板金
内外装板金
冷凍空気調和機器施工 冷凍空気調和機器施工
建具製作 木製建具手加工
建築大工 大工工事
型枠施工 型枠工事
鉄筋施工 鉄筋組立て
とび とび
石材施工 石材加工
石張り
タイル張り タイル張り
かわらぶき かわらぶき
左官 左官
配管 建築配管
プラント配管
熱絶縁施工 保温保冷工事
内装仕上げ施工 プラスチック系床仕上げ工事
カーペット系床仕上げ工事
鋼製下地工事
ボード仕上げ工事
カーテン工事
サッシ施工 ビル用サッシ施工
防水施工 シーリング防水工事
コンクリート圧送施工 コンクリート圧送工事
ウェルポイント施工 ウェルポイント工事
表装 壁装
建設機械施工◎ 押土・整地
積込み
掘削
締固め
築炉 築炉

 

4. 食品製造関係(9職種16作業)

職種 作業
缶詰巻締◎ 缶詰巻締
食鳥処理加工業◎ 食鳥処理加工
加熱性水産加工食品製造業◎ 節類製造
加熱乾製品製造
調味加工品製造
くん製品製造
非加熱性水産加工食品製造業◎ 塩蔵品製造
乾製品製造
発酵食品製造
調理加工品製造
生食用加工品製造
水産練り製品製造 かまぼこ製品製造
牛豚食肉処理加工業◎ 牛豚部分肉製造
ハム・ソーセージ・ベーコン製造 ハム・ソーセージ・ベーコン製造
パン製造 パン製造
そう菜製造業◎ そう菜加工

 

5. 繊維・衣服関係(10職種12作業)

職種 作業
染色 糸浸染
織物・ニット浸染
ニット製品製造 靴下製造
丸編みニット製造
たて編ニット生地製造◎ たて編ニット生地製造
婦人子供服製造 婦人子供既製服縫製
紳士服製造 紳士既製服製造
下着類製造◎ 下着類製造
寝具製作 寝具製作
帆布製品製造 帆布製品製造
布はく縫製 ワイシャツ製造
座席シート縫製◎ 自動車シート縫製

 

6. 機械・金属関係(15職種29作業)

職種 作業
鋳造 鋳鉄鋳物造
非鉄金属鋳物鋳造
鍛造 ハンマ型鍛造
プレス型鍛造
ダイカスト ホットチャンバダイカスト
コールドチャンバダイカスト
機械加工 普通施盤
フライス盤
数値制御施盤
マシニングセンタ
金属プレス加工 金属プレス
鉄工 構造物鉄工
工場板金 機械板金
めっき 電気めっき
溶融亜鉛めっき
アルミニウム陽極酸化処理 陽極酸化処理
仕上げ 治工具仕上げ
金型仕上げ
機械組立仕上げ
機械検査 機械検査
機械保全 機械系保全
電子機器組立て 電子機器組立て
電気機器組立て 回転電機組立て
変圧器組立て
配電盤・制御盤組立て
開閉制御器具組立て
回転電機巻線製作
プリント配線板製造 プリント配線板設計
プリント配線板製造

 

7. その他(16職種28作業)

職種 作業
家具製作 家具手加工
印刷 オフセット印刷
製本 製本
プラスチック成形 圧縮成形
射出成形
インフレーション成形
ブロー成形
強化プラスチック成形 手積み積層成形
塗装 建築塗装
金属塗装
鋼橋塗装
噴霧塗装
溶接◎ 手溶接
半自動溶接
工業包装 工業包装
紙器・段ボール箱製造 印刷箱打抜き
印刷箱製箱
貼箱製造
段ボール箱製造
陶磁器工業製品製造◎ 機械ろくろ成形
圧力鋳込み成形
パッド印刷
自動車整備◎ 自動車整備
ビルクリーニング ビルクリーニング
介護◎ 介護
コンクリート製品製造◎ コンクリート製品製造
RPF製造◎ RPF製造
鉄道施設保守整備 軌道保守整備

 

8. 社内検定型(1職種2作業)

職種 作業
空港グランドハンドリング◎ 航空機地上支援
航空貨物取扱

 

[表中の記号の意味]

◎:技能実習評価試験に係る職種

 

技能実習2号から3号への移行手続き

ここでは、技能実習2号から3号への移行の際に必要な条件、手続きについて解説します。

まず監理団体型で受け入れを行っている場合、「技能実習3号ロ」への在留資格変更申請は「技能実習2号ロ」で在留していたことが前提となります。

それでは、具体的に手続きの流れを見ていきましょう。

  • 2号修了前までに、技能検定3級合格(またはこれに相当する技能実習評価試験の実技試験の合格)が必要です。そのため、2号修了の2ヶ月前までには受検をするようにしましょう。
  • 2号技能実習修了の2ヶ月前までに、技能実習計画の認定申請を公益財団法人国際人材協力機構(JITCO)へ提出します。(技能実習計画の認定申請は、実習開始予定日の6ヶ月前から可能です)
  • 地方出入国管理局に技能実習3号への在留資格変更許可申請を行います。(標準審査期間は2週間/3号計画認定通知書の受領後在留期限前まで)
  • みなし再入国許可により出国(帰国)します。 (2号修了後、1ヶ月以上母国へ帰国しなければならないという規定があります)
  • 帰国1ヶ月以降に日本へ再入国し、技能実習3号への在留資格変更許可を受けます。
  • 第3号技能実習を開始します。

参照:https://www.jitco.or.jp/files/data/I.pdf

参照:https://www.mhlw.go.jp/content/000622688.pdf

 

技能実習3号から特定技能実習への移行は可能?

それでは、技能実習3号から特定技能への移行は可能なのでしょうか?答えは「はい」です。

3号技能実習から特定技能1号へ移行するためには、以下の要件が挙げられます。

  • 技能実習3号を良好に修了すること(技能実習を2年10ヶ月以上修了していること)
  • 技能実習で習得した技能と、特定技能1号の業務で要する技能に関連性があると認められること
  • 3号技能実習計画を満了すること

通常、特定技能へ移行する場合には日本語能力試験と技能試験に合格する必要がありますが、上記に挙げた要件を満たすことでこれらが免除されます。

つまり、特定技能1号で必要とされる技能水準、並びに日本語能力水準を測るための日本語能力試験や技能試験を受けなくとも、在留資格「特定技能1号」として日本に在留することが可能になります。

ただ、特定技能外国人の受け入れ可能な業種(特定産業分野と呼ばれます)は技能実習3号と必ずしも一致しません。特定産業分は次の14分野のみとなっており、3号を修了した業種と整合しない場合、移行できませんので注意しましょう。

【特定産業分野(14分野)】

・介護 ・ビルクリーニング ・素形材産業 ・産業機械製造業
・電気・電子情報関連産業 建設業 造船・舶用工業 ・自動車整備
・航空 ・宿泊 ・農業 ・漁業
・飲食料品製造業 ・外食業

 

(下線の2分野(建設、造船・舶用工業)のみ特定技能2号の受入れが可能) 

参照:https://www.moj.go.jp/isa/content/930004944.pdf

「特定技能」とは?「技能実習」との違いを解説

まとめ

いかがでしたでしょうか。ここまで技能実習3号について、さらには技能実習1~3号の違い、特定技能についても見てきました。

外国人技能実習制度は、海外の開発途上地域に日本の高度な技術や知識を持ち帰ってもらい、母国の発展に寄与してもらうことが最大の目的です。そこへ時代の流れと共に、日本の人材不足の課題も大きくなっていきました。その為、後から新設されたのが特定技能という在留区分になります。

技能実習で培った知識や技術を日本企業で存分に発揮してもらい、企業にとっては貴重な人材として出来るだけ長く雇用関係を継続できるように、お互いにwin-winの関係を築いていきましょう。

技能実習生の受け入れについてご不明点がありましたら、「無料相談」よりお問い合わせください。

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