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2024.04.08

特定技能の職種一覧!仕事内容をわかりやすく解説

特定技能は2019年4月から運用が始まった在留資格です(※1)。特定技能の在留資格を取得できるのは、一定の経験やスキルを持った外国人労働者に限られます。企業にとっては、即戦力となる労働者を確保できるというメリットがあります。

特定技能による受け入れが可能な職種は合計12分野です。本記事では、特定技能の対象職種や、それぞれの仕事内容、特定技能制度の今後の展開についてわかりやすく解説します。

※1 公益社団法人 国際人材協力機構(JITCO)「在留資格「特定技能」とは」

特定技能とは?

特定技能の職種一覧!仕事内容をわかりやすく解説_解説イラスト

2018年の法改正によって、新しい在留資格「特定技能」が創設されました。特定技能とは、一定の経験やスキルがあり、即戦力として活躍できる外国人労働者を対象とした在留資格の区分です。特定技能による外国人労働者の受け入れは、すでに2019年4月から始まっています(※1)。

特定技能には、特定技能1号と特定技能2号の2種類の在留資格があり、それぞれ以下の外国人労働者を対象としています(※2)。

在留資格 対象者
特定技能1号 特定産業分野に属する相当程度の知識または経験を必要とする技能を要する業務に従事する外国人
特定技能2号 特定産業分野に属する熟練した技能を要する業務に従事する外国人

 
特定技能での受け入れが可能な職種のことを「特定産業分野」と言います。特定産業分野には、全部で12の分野があり、特定技能1号は全ての分野で外国人労働者の受け入れが可能です。

より専門的な経験やスキルが求められる特定技能2号は、これまで受け入れ分野が制限されていました。しかし、2023年8月の方針変更により、介護を除く11の分野で外国人労働者の受け入れが解禁されています。

※1 公益社団法人 国際人材協力機構(JITCO)「在留資格「特定技能」とは」
※2 出入国在留管理庁「特定技能ガイドブック」P3

【一覧表】特定技能の職種をまとめて紹介

特定技能制度の対象となる職種(分野)は以下の表のとおりです(※1)。

職種(分野) 所管省庁 技能試験 従事する業務 雇用形態
介護 厚生労働省 介護技能評価試験 身体介護(入浴、食事、排せつの介助など)や、その他の支援業務(レクリエーションの実施、機能訓練の補助など)
※訪問系サービスは対象外
直接
ビルクリーニング ビルクリーニング分野特定技能号評価試験 建築物内部の清掃
素形材・産業機械・電気電子情報関連製造業 経済産業省 製造分野特定技能1号評価試験 機械金属加工
電気電子機器組立て
金属表面処理
建設 国土交通省 建設分野特定技能1号評価試験など 土木
建築
ライフライン・設備
造船・舶用工業 造船・舶用工業分野特定技能1号試験など 溶接
塗装
鉄工
仕上げ
機械加工
電気機器組立て
自動車整備 自動車整備分野特定技能評価試験など 自動車の日常点検整備、定期点検整備、特定整備など
航空 特定技能評価試験(航空分野:空港グランドハンドリング、航空機整備) 空港グランドハンドリング(地上走行支援業務、手荷物・貨物取扱業務など)
航空機整備(機体、装備品の整備業務など)
宿泊 宿泊業技能測定試験 宿泊施設におけるフロント、企画・広報、接客およびレストランサービスなど
農業 農林水産省 農業技能測定試験(耕種農業全般、畜産農業全般) 耕種農業全般(栽培管理、農産物の集出荷・選別など)
畜産農業全般(飼養管理、畜産物の集出荷・選別など)
直接
派遣
漁業 漁業技能測定試験(漁業、養殖業) 漁業(漁具の製作・補修、水産動植物の探索、漁具・漁労機械の操作、水産動植物の採捕、漁獲物の処理・保蔵、安全衛生の確保など)
養殖業(養殖資材の製作・補修・管理、養殖水産動植物の育成管理、養殖水産動植物収穫・処理、安全衛生の確保など)
飲食料品製造業 飲食料品製造業特定技能1号技能測定試験 飲食料品製造業全般(飲食料品の製造・加工、安全衛生など)
※酒類を除く
直接
外食業 外食業特定技能1号技能測定試験 外食業全般(飲食物調理、接客、店舗管理など)

 
それぞれの職種には、外国人労働者が従事することが可能な業務区分が設けられています。例えば、素形材・産業機械・電気電子情報関連製造業の場合、業務区分は3つあり、機械金属加工、電気電子機器組立て、金属表面処理のいずれかの区分で外国人労働者の受け入れが可能です。

つまり、12の職種のうち、業務区分に含まれない仕事は特定技能による受け入れが認められません。一例を挙げると、飲食料品製造業の場合、スーパーでの総菜調理などの業務は受け入れ対象に含まれていません(※現在、業務区分の追加の検討がなされています)。

そのため、特定技能の受け入れ分野(職種)だけでなく、受け入れ可能な業務区分(仕事内容)について知っておくことが大切です。ここからは、特定技能の対象職種の特徴や、主な業務区分について紹介していきます。

※1 出入国在留管理庁「特定技能ガイドブック」P5

介護

介護分野では、以下の2つの業務区分で外国人労働者の受け入れが可能です。

  • 入浴、食事、排せつの介助など、介護サービスの利用者の身体介護に関わる業務
  • 施設でのレクリエーションの実施や、利用者の機能訓練など、介護サービスに付随する支援業務

注意が必要なのが、訪問系サービスは対象外であるという点です。介護サービスは、施設・居住系サービスと訪問系サービスの2つに分かれており、訪問系サービスは特定技能での外国人労働者の受け入れが認められていません。

介護サービスの種類
施設・居住系サービス 通所介護(デイサービス)、通所リハビリ、短期入所生活介護(ショートステイ)、短期入所療養介護、介護老人福祉施設(特別養護老人ホーム)、介護老人保健施設(老健)、介護療養型医療施設、特定施設入居者生活介護(有料老人ホーム、軽費老人ホームなど)、認知症対応型共同生活介護(グループホーム)
訪問系サービス 訪問介護(ホームヘルプ)、訪問入浴、訪問看護、訪問リハビリ、夜間対応型訪問介護など

 
また介護分野は、特定技能2号の受け入れ対象にも含まれていません。介護分野での外国人受け入れを検討している方は、これらの点に注意しましょう。

ビルクリーニング

ビルクリーニングは、主にオフィスビルなどの建物内を清掃する業務です。ビルクリーニング業には、一般家庭などのハウスクリーニングは含まれません。

ビルクリーニングは人手不足が懸念される職種の一つで、特定技能制度では「建築物内部の清掃」の業務区分において、外国人労働者の受け入れが認められています。

外国人の方が特定技能を取得し、ビルクリーニング分野で働くためには、技能試験(ビルクリーニング分野特定技能1号評価試験)の合格が必要です。技能試験では、建物に使われる建材や汚れ、清掃方法、使用する洗剤や用具に関する知識など、幅広い経験やスキルが問われます。

素形材・産業機械・電気電子情報関連製造業

素形材・産業機械・電気電子情報関連製造業分野は、元々独立していた3つの分野を2022年に統合し、新設した分野です。

分野 主な仕事内容
素形材 金属、高分子材料(ゴムやプラスチックなど)、セラミックスなど、ものづくりに欠かせない材料(素形材)を加工し、部品や部材を製造する
産業機械 主に生産工場などで利用される機械設備を製造する
電気電子情報関連製造 電子部品を含む電子機器の製造や組立て、めっきなどに携わる

 
いずれも製造業にとって欠かせない仕事で、製造業全体として49,750人を受け入れ見込み数として設定しています(※1)。

※1 出入国在留管理庁「特定技能ガイドブック」P5

建設

建設業も人手不足が深刻化している業種の一つです。特定技能制度が創設された当時、建設分野は19の業務区分に分けられていました(※1)。

現在は土木、建築、ライフライン・設備(インフラ)の3区分で、特定技能による外国人労働者の受け入れが可能になっています。

建設分野に該当する職種の例として、とび職、左官、建築大工、内装工、配管工などが挙げられます。

※1 国土交通省「業務区分の統合に係る関係資料【特定技能制度(建設分野)】」

造船・舶用工業

造船・舶用工業は、船舶の製造や、船舶用のエンジン、プロペラなどの部品を製造する業種です。前者を造船業、後者を舶用工業を呼んで区別しています。

特定技能制度では、溶接、塗装、鉄工、仕上げ、機械加工、電気機器組立ての6つの業務区分で、外国人労働者の受け入れが可能です。

自動車整備

自動車整備は、自動車の点検整備やメンテナンスに関わる職種で、業務区分は以下の一点です(※1)。

  • 自動車の日常点検整備、定期点検整備、特定整備、特定整備に付随(する業務)

外国人の方が自動車整備の区分で働くには、自動車整備分野特定技能評価試験をはじめとした技能試験の合格が必要です。この技能試験の水準は、国土交通省が実施する自動車整備士技能検定において、3級整備士に相当するといわれています。

※1 出入国在留管理庁「特定技能ガイドブック」P5

航空

航空分野には、航空輸送を地上で支援する「空港グランドハンドリング」と、航空機の整備やメンテナンスに関わる「航空機整備」の2つの業務区分が含まれます。

航空分野はまだまだ外国人労働者の受け入れが少なく、2022年8月時点での受け入れ見込み数(5年間)は1,300人です(※1)。今後の航空業界の人手不足の状況によっては、これから受け入れ数が増える可能性もあります。

※1 出入国在留管理庁「特定技能ガイドブック」P5

宿泊

宿泊分野では、旅館やホテルのフロント、レストランサービスなどの業務の他、企画・広報などのマーケティング部門で働く労働者の受け入れが可能です。

ただし、風俗営業法における「接待」に該当する業務や、旅館業法における「簡易宿所」「下宿」に分類される施設では、外国人労働者の受け入れができません。

また旅館やホテルの客室係として、特定技能の外国人労働者を雇用する場合も注意が必要です。清掃やベッドメイキングをしてもらうことは可能ですが、メインの仕事として従事させることはできません。宿泊分野における業務の範囲を事前に確認しましょう。

農業

農業分野では、耕種農業(農産物の栽培・集出荷)と、畜産農業(畜産物の飼養・集出荷)の2つの業務区分で外国人労働者の受け入れが可能です。耕種農業と畜産農業では、それぞれ技能試験が異なる点に注意してください。

特定技能制度では、受け入れた外国人労働者を原則、直接雇用しなければならないというルールがあります。農業や漁業の分野では、例外的に派遣での外国人受け入れが可能です。

漁業

漁業分野には、主に水産物の捕獲を行う「漁業」と、水産物の養殖を行う「養殖業」の2つの業務区分があります。農業分野と同様に、技能試験(漁業技能測定試験)はそれぞれ分かれている点に注意してください。

漁業分野では、他の産業分野よりも零細事業者の割合が大きいという事情を鑑みて、例外的に派遣での外国人受け入れが認められています。

飲食料品製造業

飲食料品製造業は、主に飲食料品の製造や加工に携わる仕事です。ただし、酒類の製造・加工に関する業務は含まれません。合計12の産業分野の中でも、飲食料品製造業は特に人手不足が深刻な分野の一つです。2022年8月時点での受け入れ見込み数(5年間)は87,200人で、外国人労働者の受け入れが積極的に行われています(※1)。

※1 出入国在留管理庁「特定技能ガイドブック」P5

外食業

外食業はカフェやレストランなどの飲食店において、接客、調理、配膳、その他の店舗運営に関する仕事をする職種です。コロナ禍の影響を受け、外食業における外国人受け入れは一時伸び悩んでいたものの、5年間で最大30,500人の外国人受け入れが期待されています(※1)。

※1 出入国在留管理庁「特定技能ガイドブック」P5

今後新たに4つの職種の追加が検討

トラックの運転業務

2024年2月22日には、政府が特定技能の受け入れ対象に以下の4職種の追加を検討していることが報じられました。

職種 主な業務
自動車運送業 バスやタクシー、トラックの運転業務など
鉄道 運転士、車掌、駅係員、車両製造など
林業 育林など
木材産業 木材加工など

 
特定技能制度は、中小企業をはじめとした事業者の人手不足解消を目的として創設された制度です。自動車運送業や鉄道、林業、木材産業などの職種も人手不足が深刻化しており、政府は年度内の決定を視野に入れ、関係省庁を交えて追加を検討しています(※1)。

もし4職種の追加が決定された場合、特定技能の受け入れ分野は現在の12職種から、16職種へ増加することになります。

また既存の飲食料品製造業や、産業機械などの分野も、以下の業務区分が追加される予定です。

職種 追加される業務
飲食料品製造 スーパーでの総菜調理
産業機械 繊維や印刷

 
今後の展開に備えて、特定技能制度についての最新情報を確認するようにしてください。

※1 毎日新聞「政府、特定技能に「鉄道」など4分野追加を提案 人手不足解消に期待」

特定技能の職種一覧や対象となる仕事内容を確認しよう

2019年4月から新たな在留資格「特定技能」が創設され、以下の12の職種(特定産業分野)で外国人労働者の受け入れが可能になりました。

  1. 介護
  2. ビルクリーニング
  3. 素形材・産業機械・電気電子情報関連製造業
  4. 建設
  5. 造船・舶用工業
  6. 自動車整備
  7. 航空
  8. 宿泊
  9. 農業
  10. 漁業
  11. 飲食料品製造業
  12. 外食業

特定技能のうち、特定技能1号の在留資格の場合は12職種全て、特定技能2号の場合は介護を除く11職種において受け入れが認められます。

同じ職種でも、仕事内容によっては特定技能による受け入れが認められないことがあるため、各職種の業務区分についても確認してください。

ANSONG協同組合 事務局

私たちANSONG協同組合は「日本企業の素晴らしい技術」と「中国および東南アジアの技術不足という課題」の架け橋となり、外国人技能実習制度を通し、御社の事業と日本経済の発展に寄与します。

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