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2022.03.03
技能実習2号とは?1号との違いや移行手続きを解説
技能実習2号とは?1号との違いや移行手続きを解説
技能実習生は、技能実習1号という区分からスタートした後、技能実習2号へと移行することができます。
そもそも2号へ移行するとはどういうことなのか、技能実習生や受け入れ企業にとってどのような意味あるのでしょうか。
また、2号移行のために必要な具体的な手続きや要件についても見ていきます。
技能実習2号とは
「技能実習2号」とはどのようなことを指すのでしょか。
技能実習生が日本で1年間実習行い、そのまま帰国するのではなく、2年目以降も実習を続けたい、そして受け入れ企業側も実習を延長して欲しいという双方の合意があった場合、2年目以降の滞在延長に向けて動き出すようになります。
つまり、入国後1年目の技能等を修得するための活動が第1号技能実習であるのに対して、この1年目に習得した技能等を更に習熟するための2,3年目(2年間)の活動が「第2号技能実習」なります。
この場合、1年目の実習内容を更に深めていくことが2,3年目の目的であることから、移行の際に職種や作業内容を変更することはできません。
ここで注意しなければならないのが、全ての第1号技能実習生が無条件で第2号技能実習へ移行できるわけではありません。2号へ移行するためには所定の試験を通過するなど要件が定められています。後半で詳しく見ていきましょう。
また、技能実習2号の在留資格は、企業単独型での受け入れの場合に「技能実習第2号イ」、監理団体型での受け入れの場合は「技能実習第2号ロ」という区分になります。
技能実習1号、2号の違い
では、技能実習1号と2号には具体的にどのような違いがあるのでしょうか。
前述の通り、技能実習1号の在留期間は1年間であり、入国1年目に技能等の修得をする活動を指します。
1号では、技能実習制度の本来の目的である開発途上地域等への技能移転や地域の発展に寄与する職種や作業であれば、基本的にはどの職種でも受け入れが可能です。
ただし、2号への移行を当初から計画している実習生、または受け入れ企業は、2号への移行対象職種が定められているため、その職種に適合しているかを1号での受け入れ時点で確認しておく必要があります。
また、原則2ヶ月間は座学の講習を受けなければなりません。
技能実習2号の在留期間は2年間であり、2年目と3年目の技能等の習熟を図るための活動を指します。
また2号へ移行するためには、1号の実習終了前に技能検定試験の基礎級(実技・学科試験)やこれに準ずる検定や試験に合格することと、より実践的な技能実習計画の提出などが必要になってきます。
この後、入国管理局の審査を通ると技能実習2号の在留資格を得ることができます。
技能実習2号への移行対象職種
現在の、第1号から第2号への移行対象職種の一覧です。第2号移行職種は85職種156作業となっています。(2021年3月現在)
詳細はこちらのお役立ち記事をごらん下さい。
技能実習2号への移行手続き
ここでは、技能実習2号への移行について必要な条件、手続きなどを具体的に見ていきます。
まず監理団体型で受け入れを行っている場合には「技能実習2号ロ」への在留資格変更申請は「技能実習1号ロ」で在留していたことが前提となります。
また、「技能実習生」と「監理団体または実習実施機関」それぞれに係る要件があります。
【技能実習生に係る要件】
- 技能実習が、「技能実習1号ロ」と同一の実習実施機関で、かつ同一の技能等について行われること。 ただし、技能実習生の責に帰することができない事由により、同一の実習実施機関での技能実習ができない場合は、この限りではありません。
- 基礎2級の技能検定その他これに準ずる検定又は試験に合格していること。
- 技能実習計画に基づき、更に実践的な技能等を修得しようとするものであること。
【監理団体又は実習実施機関に係る要件】
監理団体又は実習実施機関に係る要件については、基本的には入国時の「技能実習1号ロ」での要件と同じです。但し、監理団体が行うこととされている実習実施機関に対する月1回以上の訪問指導、講習の実施は「技能実習2号ロ」では適用されません。
また、「技能実習2号ロ」申請時の技能実習計画の作成は、実習実施機関が行うこともできます。
1号から2号への移行手続きはどうするの?
では、実際に行う移行手続きはどのような手順になるのでしょうか。
1号から2号へ移行するには、まず実習生は2号移行試験を受検する必要があります。技能検定基礎級もしくは技能評価試験初級の合格を目指します。
試験には、学科試験と実技試験があり、どちらも合格しなくてはいけません。
受験推奨期間は、1号の期間満了の2ヶ月前とされているため、入国から6ヶ月目には試験の申し込み、8ヶ月目頃には受験をします。
技能実習生にとっては、まだ日本に慣れていないうちから試験の準備などがすぐに始まることになります。受け入れ企業のサポートがとても大切になってきます。
また、入国時に外国人技能実習機構(OTIT)に申請した技能実習計画ですが、こちらも2号用の技能実習計画の認定も必要となります。
こちらは1号期間満了の3ヶ月前までに行わなければならないため、入国後7ヶ月〜9ヶ月目には申請を済ませておきましょう。標準審査期間は2週間〜5週間となっています。
次に、2号の技能実習計画の認定が下りたら速やかに在留資格の変更申請を行います。入国時の技能実習1号から技能実習2号への変更になります。申請をする場所は、実習生が働いている地域の管轄の入国管理局となります。
入国管理局での審査に約1ヶ月を要すると言われているため、実習生の在留期限が切れる1ヶ月前までには申請をしなければなりません。
技能実習2号から特定技能実習への移行は可能?
まず先に「技能実習」と「特定技能実習」の違いを抑えておきましょう。
技能実習制度は、開発途上国出身の方に日本の高い技術を現場での実習を通じて習得してもらい、帰国後に培った技術を広めていただくという国際貢献を制度の目的としています。
更に、「技能実習は、労働力不足を補うための手段として行われてはならない旨の基本理念 が定められています(法第3条)」と技能実習法において明確に記されています。
一方で、2019年4月に新設された在留資格「特定技能」は、日本企業の人手不足を補うことを目的としおり、全く異なる在留資格であることを認識しておく必要があります。
それでは、技能実習2号から特定技能実習への移行は可能なのでしょうか?
答えは「はい」です。
特定技能実習へ移行するためには、特定技能評価試験の合格が必要になりますが、技能実習2号を良好に修了した実習生はこの試験は免除されます。
特定技能外国人の受け入れには、特定産業分野と呼ばれる定められた14分野のみとなるため、きちんと把握しておくことが大切です。
【特定産業分野(14分野)】
1. 介護 | 2. ビルクリーニング | 3. 素形材産業 | 4. 産業機械製造業 |
5. 電気・電子情報関連産業 | 6. 建設業 | 7. 造船・舶用工業 | 8. 自動車整備 |
9. 航空 | 10. 宿泊 | 11 農業 | 12. 漁業 |
13. 飲食料品製造業 | 14. 外食業 |
(上記のうち、2分野(6. 建設、7. 造船・舶用工業)のみ特定技能2号の受入れが可能)
また、受入れ機関(特定技能所属機関)と呼ばれる、実際に特定技能外国人を受け入れる企業や個人事業主等は以下の基準を満たしていなければなりません。
【受入れ機関が外国人を受け入れるための基準】
- 外国人と結ぶ雇用契約(特定技能雇用契約)が適切であること(例:報酬額が日本人と同等以上)
- 受入れ機関自体が適切であること
- 外国人を支援する体制があること
- 外国人を支援する計画が適切であること
【受入れ機関(特定技能所属機関)の義務】
- 外国人と結んだ雇用契約を確実に履行すること
- 外国人への支援を適切に実施すること
(支援については、登録支援機関に委託も可。登録支援機関に全部委託すれば上記③の基準を満たす。) - 出入国在留管理庁への各種届出を行うこと
【登録支援機関について】
登録支援機関とは受入れ機関(特定技能所属機関)から委託を受け、1号特定技能外国人支援計画の全ての業務を実施する者のことです。
受入れ機関(特定技能所属機関)は、特定技能1号外国人に対し支援を行わなければなりませんが、その支援を全て委託することができます。
委託を受けた機関は、出入国在留管理庁長官の登録を受けることで、「登録支援機関」となることができます。
特定技能実習の背景とメリット
特定技能実習へ移行する背景としては、特定技能実習では受け入れ人数に制限がないため(一部職種を除く)、受け入れ企業側としては実習で経験を積んだ優秀な人材を安定して雇用したいという意向を汲むことが可能になります。
また、実習生側としては特定技能ではより高度な知識と技術を身に付けた上で日本企業と直接雇用となるため、キャリアを重ねることができるでしょう。
もう一つ抑えておきたい点が、特定技能では転職が可能になるということです。つまり、特定技能実習生がより良い環境や条件を求めて、他の企業へ転職をする可能性があるということです。受け入れ企業と実習生、お互いに常に良好で向上し合える関係性を築いておくことも大切です。
まとめ
さて、技能実習生を受け入れるに当たり、基本となる技能実習1号、2号について見てきました。
技能実習生が在留期間を延長し、より長く実習を行うことは技能実習生と受け入れ企業と双方にとってニーズを満たすことでもあります。技能実習生が、より習熟した技術や知識を身に付け母国へ帰国することができれば、技能実習制度本来の目的である、母国の発展へより寄与することができ、受け入れ企業の貢献度もより高まります。
また、将来的に優秀な人材を育て海外へ届けることは、後々、企業側も海外への人脈形成や海外進出の大切な足掛かりとなることもあるでしょう。
こうした将来的な展望も見据え、しっかりと2号移行への実習の充実とサポートを行いたいですね。
技能実習生の受け入れについてご不明点がありましたら、「無料相談」よりお問い合わせください。